溶接ヘルールは衛生管理のための重要ツール！種類や締め付け対策

溶接ヘルールの特徴

まずは、ヘルールとは何か、また溶接ヘルールの意味について見ていきましょう。

ヘルールとは

ヘルールとは、サニタリー配管やバルブなどを接続する方法のひとつです。着脱が容易で、洗浄がしやすいため、より高い衛生管理が必要な工場で多く活用されます。このような工場では、サニタリー仕様が求められるため、配管やバルブはもちろん、ヘルールもサニタリーに適した特別な製品が用いられています。

なお、ヘルールを継手の一種という意味で使う場合、「サニタリー配管」や「サニタリー継手」と呼ばれるケースも少なくありません。

溶接ヘルールとは

溶接ヘルールとは、その名のとおり、溶接して取り付けるタイプのヘルール継手です。対象となる配管やバルブ、容器に溶接することでヘルール継手がセットされます。サニタリー仕様が求められる環境に適しています。

TIG溶接のバックシールド溶接という方法も重要です。この溶接は特殊な溶接方法で、管の外側から溶接を行い、内側をきれいにする技法となっています。そうしなければ、内側に溶けたステンレスがはみ出してバリが出たり、錆びたりします。上手な職人が行うと、内側から溶接したような仕上がりになります。

溶接ヘルール以外のヘルール関連資材

ヘルールには溶接ヘルール以外にも様々な関連資材があります。ヘルール関連資材の主な種類は以下のとおりです。

• 片ヘルール／両ヘルール
• エルボ
• チーズ
• ヘルールキャップ

片ヘルールとは片方がヘルール、もう片方が一般的なストレート状のパイプです。取り付ける際には、溶接を行います。両ヘルールは、ヘルールとヘルールをつなぐ継手であり、片ヘルールとは使い道が大きく異なります。

エルボは曲がった形状が特徴的です。液体の流路を大きく変える場合には、エルボが使われます。特に上下から横への流れを作る際に、エルボが非常に便利です。チーズとは、流路を分岐するための資材です。配管は一方通行の形状がほとんどですが、チーズを使えば別方向に流路を作ることができます。

配管をこれ以上接続しない場合は、配管を閉鎖するためにヘルールキャップが用いられます。

ステンレス配管・バルブの通販サイトSUS管ストアでは、エルボやチーズなども多数販売しております。ヘルールと併せて、サイズや目的の合ったエルボやチーズの購入もご検討ください。

ヘルールガスケット（パッキン）の種類

液漏れや異物混入などの危険を防ぐためには、配管へのガスケット設置が必要です。ヘルールにおいてもガスケットの必要性は同様ですが、ガスケットには様々な種類があります。正しい商品選びのためには、ヘルールガスケットの種類についても理解しておきましょう。ここからは、ヘルールガスケットの種類と特徴をご紹介します。

A型とB型

ヘルールガスケットは断面の形状によって、A型とB型という2種類があります。断面はA型がL字型、B型が平面状です。A型のヘルールガスケットはB型に比べ、フランジ部分（接合部）に乗せたときに、ズレが発生しにくいといえます。

EPDM（エチレンプロピレンゴム）

EPDM素材は耐酸性・耐アルカリ性のほか、耐蒸気性も持っています。様々な状況に耐えられるため、広く活用されている素材です。

テフロン被覆（EPDM＋PTFE）

テフロン被覆とは上記で紹介したEPDMにPTFE（フッ素樹脂）を被覆した素材です。溶接する部分はPTFEであり、これによって高い耐薬品性を実現します。芯の部分はEPDM、すなわちゴム素材のため、シール性も高いです。

SUS管ストアでは、被覆ではなくPTFEだけのパッキンを取り扱っています。ヘルールのパッキンとしては、ヘルールの締め付け圧力が十分高く、PTFEの弾性で十分パッキンされます。芯までPTFEのため耐摩耗性も高いです。

VMQ（シリコンゴム）

VMOは高い耐熱性・耐蒸気性を持つ素材です。これまで紹介した材質の耐蒸気性は130度ですが、VMQは150度まで耐えられます。サニタリー仕様が必要な工場のなかでも、特に食品や飲料の製造工場で使われるケースが多いです。

素材だけでなく寸法・規格に要注意！

これまで紹介したように、ヘルールガスケットは素材によって特徴が大きく異なります。素材の確認は必要不可欠ですが、同時に寸法・規格も注意が必要です。せっかくよいガスケットを選んでも、寸法・規格が合っていなければ正しい接続ができません。寸法・規格が違うものを無理やり使うと、サニタリー性や安全性が下がってしまいます。

通販サイトSUS管ストアでは、幅広い規格のガスケットを販売しています。寸法の違いは菌のコロニーが発生する原因にもなるため、必ず配管サイズに合った規格・寸法のガスケットを選びましょう。

ヘルールの締めすぎに注意

ヘルールを使う際に注意すべき点のひとつが、締め具合です。ヘルールはしっかり締めないと液漏れや異物混入などのトラブルにつながりますが、過剰な締め付けにもリスクがあります。ここでは、ヘルールを締めすぎるとどのような事態が起きるのか、具体的に解説します。

ガスケットの破損

ヘルールの過剰な締め付けは、ガスケットが破損する原因のひとつです。過剰に締め付けることでガスケットが圧縮されすぎてしまい、亀裂が発生して破損が進みます。ガスケットに亀裂が入ると、締め付けている面の圧が低下してしまいます。結果として配管からの液漏れが発生し、様々なトラブルを引き起こしてしまうのです。

ガスケットのはみ出し

ヘルールの締め付けが緩い場合は、十分に接続ができず、結果として液漏れや異物混入などのトラブルが起こる可能性が高くなります。しかし、強すぎる締め付けも、部品の変形や破損、管の内側に出っ張りが生じてしまうリスクがあるのです。菌の繁殖やコンタミの発生といったトラブルが起こることもあります。ガスケットは適正な締め付けにより、ちょうど菅の内径と同じようになるよう作られているのです。

なお、異物混入には隙間に溜まった汚れが混入する場合だけでなく、ガスケットそのものが異物となるケースもあります。はみ出したガスケットはその部分が摩耗しやすく、削れた部分がそのまま混入してしまいかねません。特に、EPDMは劣化すると粉状になるため、その問題が起こりやすいといわれています。いずれにせよ、サニタリー性維持のために防ぐべき事態のため、ヘルールの締め付けには注意が必要です。

ヘルールの過度な締め付け対策

ヘルールを過度に締め付けてしまった場合は、前述したようなトラブルが起こりやすくなってしまい大変危険です。そのため、ヘルールの過度な締め付けを防ぐため、対策をとる必要があるといえるでしょう。こちらでは、過度な締め付けを防ぎ、適切な締め具合にするための対策方法をご紹介します。

面圧を確認しながら締め付けを行う

ヘルールの締め付けを行う際には、パッキンやガスケットに適した面圧に合わせることが大切です。そのため、面圧を確認しながら締め付けを行うことをおすすめします。SUS管ストアの施工現場では、ある程度締めてからクランプをハンマーで軽くたたき、もう一度締めていきます。これにより、真っすぐきれいに締まります。

適切な工具を使う

ヘルールの締め付けに使う工具は、力を適切に加えられるものを選ぶ必要があります。力が入りすぎてしまう工具だと、想定以上に強い締め付けをしてしまう危険性が高いです。そのため、ちょうどよい力加減で使える工具を選びましょう。

また、工具にサビや破損があると、締め付け具合の不具合だけでなく怪我にもつながります。程よい力加減にできるかだけでなく、工具そのものの状態についても確認が必要です。

締め付け時の環境に注意する

ヘルール締め付け時には、強すぎず弱すぎない力加減を実現するために集中しなければなりません。また、ゴミや無関係なものなどの不要物が多い環境では、無駄な力が入りやすくなってしまいます。もちろん異物混入の危険性も高くなるでしょう。

ヘルールの締め付けを行う際は、周囲の環境を整える必要があります。力加減の調節に集中できる環境にすることで、余計な力を入れずに済みます。力の入れやすさは、工具を使う際の角度も大きく関係しています。どうしても無理な姿勢をとる必要がある場合を除き、力の調節がしやすい姿勢を保てると安心です。